示談(慰謝料請求以外)の不倫解決方法 – 加害者となってしまった方

ダブル不倫がバレてしまった、配偶者に知られたくない、世間体を考えて表に出したくない、そういう思いなどから、相手から慰謝料を請求される前に示談で解決したいと考えることもあるでしょう。
示談による解決方法についての一般的な説明は、「不倫被害の示談(慰謝料請求以外)による解決方法、示談について、示談書の作成」内部リンクの項目で述べています。
示談の意味、メリット、デメリットなど基本的なことは一般の不倫の場合と同じように考えてよいでしょう。
ただし、ダブル不倫の場合は、不倫の相手方の配偶者も関係してくる点で、一般的な不倫と異なってくるところがあるので、考えてみましょう。

配偶者との示談

示談をする上での注意点

夫婦間での示談については、「不倫被害の示談(慰謝料請求以外)による解決方法、配偶者との示談」で説明しましたが、こちらは不倫をされた配偶者Yが不倫をしたXに対して(あるいはBからAに持ち掛ける場合も同じ)示談を持ち掛けた場合を想定していました。
夫婦間の問題なので不倫をしたXがYに(あるいはAがBに)持ち掛ける場合も同様に考えることができますが、以下のような点に特に注意するとよいでしょう。

①謝罪の意思を明確に伝える。

不倫をした者は、配偶者を裏切ったと言え、相手方に許しを請うという立場にありますから、まず、配偶者に対して明確に謝罪する必要があります。
配偶者が謝罪を受け入れて初めて夫婦間での示談という場に落ち着くことができるとうことを今一度確認しましょう。

②夫婦の今後の生活をしっかり考えた上で示談の条件を決定する。

配偶者との示談交渉ができるという場合であれば、そのまま夫婦関係を継続するという場合が多いと考えられます。
しかし、やはり配偶者としては裏切られたという気持ちがあるでしょうから、簡単に不倫した者を許せるわけでもないでしょう。
今後の夫婦関係を継続していくために配偶者は何を望んでいるのかをしっかりと聞いて、自身がその希望を聞くことができるのか真剣に考えて示談の条件を決めてください。
不倫した者としては、配偶者にある程度譲歩するのは当然とも言えますが、現実に約束した条件を守ることができるのかをじっくり考えてみましょう。その時は何とか取り繕ったとしても、どちらかが納得のいかない条件であれば、やがては結局夫婦関係が破綻してしまうことが考えられますので、しっかり考えましょう。

示談書の内容

示談書の内容についても「不倫被害の示談(慰謝料請求以外)による解決方法、配偶者との示談」で説明したのと基本的には同じと考えてよいでしょう。
特に、②の「生活に関する決まり」については、しっかり話し合って決めましょう。

不倫相手との示談

ダブル不倫の場合に示談する上での注意点

一般的な不倫について「不倫被害の示談(慰謝料請求以外)による解決方法、不倫相手との示談」の項目では、被害者Yの方から加害者Aに対して示談を持ち掛ける場合についての注意点や示談書の内容について説明しました。
加害者Aの側から示談を持ち掛ける場合についても、示談書の内容等基本的には同じように考えられますが、加害者側から持ち掛けるという点で以下のような点に注意するとよいでしょう。

①謝罪の意思を明確に伝える。

まず、謝罪の意思を明確に伝えることが重要です。
YにとってAは加害者なのですから、本来、「許せない」という気持ちが強いでしょう。相手から慰謝料等を請求されてきて、いきなり金額が不当だと主張すれば、それならば裁判で決着をつけようとYが考え、示談交渉の余地がなくなることも考えられます。
あくまでもYに許してもらうということが前提になりますので、しっかりと謝罪の意思を伝えましょう。

②丁寧な対応が必要だが、無理な要求には応じない。

謝罪の意思を示して具体的な示談交渉に入る場合、まず、相手の主張をしっかりと聞いて丁寧に対応することは必要です。しかし、自身に非があるからと言って過大な要求に応じる必要はありません。表に出ることを避けたい、穏便に済ませたい、そのような気持からある程度相手方に譲歩することはあるかと思いますが、明らかに過大だと思われる要求に対しては、示談を成立させたとしても要求された通りの金額の支払いや、要求された条件を実現することが困難です。そのような場合、裁判に訴えてもらい判決を得た方が適正な条件での解決を図ることができると考えられます。

③どの程度の条件なら示談に応じられるかを考えておく。

②の過大な要求を避けるために、どの程度の条件(金額、接触禁止等)なら譲歩できるのかを考えておくことが重要です。慰謝料の相場等を理解しておくとよいでしょう。

④自身の配偶者の協力を得ておく。

AがどうしてもBに知られたくないという事情があると、Yの要求が多少過大であっても、Bに知られたくないため、不利な条件の示談に応じざるを得ないということになりかねません。
Bに知られても構わない、裁判になっても構わないという状況で、示談交渉に臨むことができれば、無理に示談をしてしまおう、不利な条件だがやむを得ないというような判断をしなくて済みます。あらかじめ自身の配偶者の協力を得ておくことが重要になるでしょう。

示談書の内容

示談書の内容については、「不倫被害の示談(慰謝料請求以外)による解決方法、示談について、不倫相手との示談 3示談書の内容」内部リンクの項目で説明したのと基本的には同じように考えてよいでしょう。
加害者Aから被害者Yに示談を持ち掛ける場合には、再度Yから請求されてしまうことを避けるために、特に⑤の精算条項を明確に規定しておくことが特に重要です。
精算条項を規定したとしても、Yが蒸し返してくることが全くないとは言えません。しかし、精算条項があれば、裁判を起こされたとしても、(示談書を証拠とすることにより、Yに請求権がないことが推測されます。あえて、Yが請求するためには、Y自身が請求権があることを立証しなければならないので、)Yの請求が認められることはなかなか難しいといえます。

当事者全員で合意した方がよい。

ダブル不倫の場合、不倫の当事者(A、X)とそれぞれの配偶者(B、Y)が関係してきます。
そこで、示談する場合、当事者全員で話し合うことができれば、全員で合意をして示談書に署名した方がよいでしょう。
例えば、夫婦の経済一体性を考慮することによって、金銭的なやり取りは0とすることが考えられ、接触禁止の条項を設けた場合には、不倫の当事者のそれぞれの配偶者が監視することによって実効性が高くなると考えられます。
配偶者Bに不倫を知られたくないという気持ちはあると思いますが、Bとの夫婦関係を続けていきたいと考えるのであれば、正直に事情を話して、ダブル不倫の関係をしっかりと精算するのが、最も良い解決となることもあるでしょう。
自身がBとの関係をどうしたいのかをじっくり考えることが大切でしょう。

夫婦関係を修復するために

1 不倫をこれからの夫婦関係を上手くいかせるための機会と考える。

不倫をした者に対しては、不倫された配偶者は裏切られた、許せないという気持ちになるでしょう。世間体のためだけに夫婦関係を続けるということもあるかもしれません。
しかし、お互いに夫婦関係を修復したいと考えるのであれば、不倫を夫婦の関係をもう一度考え直す機会ととらえてじっくり話し合ってみましょう。
もちろん不倫をした側に非があるのは当然であり、簡単にはわだかまりが解けることはないでしょう。
それでも、例えば単なる遊び心での不倫だったのか、それともお互いに心が離れかけていたような状況での不倫だったのかということでも夫婦関係を修復するために必要な話し合いの内容が変わってくるでしょう。お互いの気持ちをしっかり確認してみましょう。

2 夫婦関係を修復させるために利用できる方法

夫婦でお互いに納得のいくまで話し合いをすることが理想ですが、当事者同士では感情的になってしまい、なかなかうまくいかない場合も多いでしょう。
そこで、親族等の第三者に間に入ってもらって話し合いを進めるということもあると思います。
しかし、第三者といってもそれぞれの立場に近い人ですから、一方が公平性に疑問を持つこともあるでしょう。
もちろん弁護士に依頼するということも選択肢の一つですが、弁護士もあくまでも一方の代理人ですので、その意味では親族等の第三者と変わりがないかもしれません。
そこで、家庭裁判所の夫婦関係調整調停(円満調停)の制度を利用することが考えられます。夫婦関係調整調停には離婚に向けられた離婚調停もありますが、円満調停は夫婦関係を修復するための調停です。
調停委員や裁判官がお互いの意見を聞いて、夫婦関係の修復に向けた話し合いを進めていきます。
いずれの方法でも、当事者がお互いに夫婦関係を修復したいという強い意思がなければ、関係の修復はできませんので、まずその気持ちを持つことが重要でしょう。

弁護士へ相談することは強い味方が出来るということ

ダブル不倫を示談で解決しようとする場合、どのように交渉すればよいのか、どのような条件で合意すればよいのか、相手から示談を迫られているがその条件をのまなければいけないのかなど、示談で解決するにもいろいろと考えるところがあるでしょう。
ご本人がその条件で納得して示談するのであれば問題はありませんが、示談の条件が適当なものなのかは、なかなか判断に悩むところだと思います。
最終的にはご本人の意思が最も重要なのは言うまでもありませんが、その決断をするための判断材料として、弁護士にご相談ください。
経験豊富な弁護士佐藤剛志は、その条件で示談に応じるべきか、あえて示談にせずに裁判で解決した方がよいかなど、具体的なケースに応じた適切なアドバイスを差し上げます。