結婚詐欺で訴えられた

婚約していた相手から事業資金を借りていたのだけれど、事業に失敗してしまい返せなくなり破談になった。相手から訴えられたけれど、結婚詐欺になるのか?

結婚を餌にお金をだまし取る、結婚詐欺について一般的に思い浮かべる形態でしょう。
そこで、お金を貸した婚約相手が返すことができないとなった場合、結婚詐欺と疑われることもあるでしょう。

標記のような場合は、たまたまお金を返せなくなったにすぎず、最初からお金をだまし取る意思がないので結婚「詐欺」ではありませんが、返す意思があったことを証明しなければいけません(もっとも、「詐欺」ではないとしても、お金を借りていますので、返済する義務は残ります)。

結婚詐欺として訴えられた場合、相手方からは金銭の返還の他に、婚約破棄等による慰謝料を請求されることが考えられますので、これに対応することも必要になります。

詐欺の構造

結婚詐欺も「詐欺」ですから、慰謝料や損害賠償を請求するには、「詐欺」の事実を請求する側が立証する必要があります。

訴えられた側は、「詐欺」の事実を否定する証拠を出して争うことになります。

詐欺の事実を証明するためには、

①客観的に見て詐欺の事実があったこと(騙す行為と財産的な損害の発生)
②最初から金銭を騙し取る意思があったこと(詐欺の意思)

を証明する必要があります。

詐欺ではないと主張するためには、これらの事実がなかったと主張することになります。

①客観的に見て詐欺の事実があったこと(騙す行為と財産的な損害の発生)

①は、加害者が被害者と結婚すると誤解させて(返済するつもりもないのに)金銭を得た(だまし取った)という事実です。

細かく分けて考えると、
 a)被害者から加害者にお金を貸した(お金が渡った)という事実
 b)被害者が相手が結婚してくれると誤信したという事実
 c)被害者が相手が結婚しないことが分かっていたならお金を渡すことはなかったという事実
 d)加害者が被害者に対して結婚することを誤信させたという事実
が必要になります。

a)被害者から加害者にお金を貸した(お金が渡った)という事実
まず、a)のお金を貸した(お金が渡った)という事実は、そんなの当り前だと思われるかもしれませんが、実際にお金を貸した(渡した)ことを証明することは意外と難しいのです。
親しい間柄であれば、借用書や領収書を書くことはないでしょうし、お金を貸した(渡した)場面を目撃している第三者もなかなかいないでしょう。
もっとも、婚約者から事業資金を借りたというような場合(結婚詐欺をするつもりがないのに訴えられた場合)は、領収書などを書くことはあるでしょう。
この場合は「借りた」という事実を否定し、もらった、援助された、出資してもらったなどと主張していくことになるでしょう。
b)被害者が相手が結婚してくれると誤信したという事実
次に、b)被害者が、相手が結婚してくれると誤信したという事実ですが、詐欺は相手方が誤信している状態を利用して財産的な処分行為をさせるものです。結婚詐欺の場合には被害者は、相手が結婚してくれると誤信したからお金を貸す(渡す)のです。
この結婚すると誤信したということは、一般的に考えて誤信するのが当然という事情が必要になるでしょう。
加害者と被害者の交際期間や密度など具体的な状況から判断されるでしょう。
婚約者から事業資金を借りたというような場合(結婚詐欺をするつもりがないのに訴えられた場合)は、婚約していたのですから、訴えた側は結婚してくれると信じていたことになります(厳密には「誤信」ではないのですが)が、事業の発展に賛同、応援してもらうことと結婚することは別のものであると主張する余地はあるでしょう。
c)被害者が相手が結婚しないことが分かっていたならお金を渡すことはなかったという事実
次に、c)被害者が相手が結婚しないことが分かっていたならお金を渡すことはなかったという事実は、婚約者から事業資金を借りるという場合、婚約者だからこそ貸したという事情があると考えられますので、この点は、貸付についての強い動機となると思われます。
d)加害者が被害者に対して結婚することを誤信させたという事実
最後に、d)加害者が被害者に対して結婚することを誤信させたという事実です。
婚約しているので、相手方は「結婚する」と信じているわけですが(厳密には「誤信」ではないですが)、「婚約」自体が人をだましてお金を取る行為の一部として評価されるためには、交際に至る経緯、交際期間の長短、婚約のタイミング等の事情を勘案して評価されるべきものと考えられます。
したがって、訴えられた側としては、これらの事情を丁寧に拾い上げて、詐欺ではないことの立証活動をしていくことがポイントとなると思われます。

②最初から金銭を騙し取る意思があったこと(詐欺の意思)

次に、実際に結婚するつもりだったので、厳密には「誤信した」、「誤信させた」という事実はないので、「②最初から金銭を騙し取る意思があったこと(詐欺の意思)」これがなかったということを争うことになり、これが詐欺を否定する大きな決め手になると思われます。

標記の事例では、事業に失敗しているという事実があるわけですから、もともと事業が傾いていておよそ利益を出せるような状況になかったという事情があると、最初から返すあてがないのにお金を借りたということになり詐欺の意思があったと認められる可能性があります。
そこで、事業計画では客観的に十分に利益が見込まれるものであったことなどを証明する必要があると考えらえます。

弁護士へ相談するということは、強い味方ができるということ

結婚詐欺(詐欺一般がそうですが)は、なかなか立証することが難しいです。
そうだといっても、訴えられた場合にどのような反論をすれば効果的なのか、より確実に請求を妨げることができるかは、裁判に通じた弁護士でないと分かりにくいでしょう。

また、裁判ではなく相手方から請求された場合に示談する場合にも、どのような条件が適切なのかの判断もなかなか難しいのではないでしょうか。
そのような場合にも弁護士にご相談いただければ、より適切なアドバイスをすることができます。

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